豊洲市場の売場

日本の台所と呼ばれる豊洲市場。日本全国のお店や食卓に並ぶ食材が集まる日本最大の市場です。現在ここに並べられる生鮮食品は全世界から運び込まれ日本の食文化の形成の中枢として存在しています。東京の市場として歴史を辿ると古くは日本橋から始まっており、築地そして現在の豊洲へと市場での商品の取扱い量の増加と施設老朽化に伴う移転が行われ、市場文化が変遷しています。

なぜ市場は海に隣接したエリアにあるの?

まず、今でこそ市場と呼ばれる場所であっても元々は露天商の集合体が積み重なり市場と呼ばれるようになった…これは自然の摂理で人が定住するようになれば人口密度に比例し次第に生活を維持するための手段として市場=マーケットが形成され拡大していくということなのでしょう。

皆さんご存知の通り、市場には様々な種類の市場が存在します。代表的なものは魚市場・野菜市場でしょう。主に野菜市場(やっちゃば、と呼ばれています)は内陸部にも散見されることからも生産者により近い場所で運営されているパターンと公営の市場として魚市場と隣接した臨海部で運営される二つのパターンがあります。市場が海に隣接したエリアにある理由は、①魚が海の産物であるということ、②海上輸送の便のため、③広大な敷地が臨海部に集中しているため、以上3点に集約されますが、大概の場合、魚市場が市場運営のイニシアティブを握っていると言われています。実際、内陸から運ばれる果実や野菜は海上輸送することは輸入を除いて殆どありませんから…また巨大な敷地を利用する市場は都市の発達により、より臨海部(埋立地など)へ移転している経緯もあります。東京の日本橋 → 築地 → 豊洲 の様に。

話を戻し、現代的に市場と言えば、規模の大小が様々で、一般的に公営で運営されている市場を指しますが、私営であっても市場と呼ばれる場所や店舗・施設があったりします。それは『市場』=『マーケット』というごく日常に近接した存在であるからなのでしょう。従って市場は全国各地に無数に存在し、仕入を行う業者(小売業者・料理店含)、一般消費者(個人)が基本的に自由に買物ができる場所として慣れ親しまれています。

生産現場から消費者までの長い道のり(商ルート)

しかしながら生産現場から消費者までの一般的な道のり(商ルート)は凄く長いものです。

生産・漁現場 → JAや魚連等 → 市場(荷受や仲卸等) → 市場間の取引(地方市場含)→ 仕入を行う人(小売業・料理店含)→ 消費者(個人)

生物や活物、野菜など鮮度が重要な食材が生産現場から食卓に届くまでに、これだけの取引を経由しているのにも関わらず数日で完結しているのです。無論、殆どの商品が移動なく内面的に商取引だけを行なっているわけです。

市場間の取引も頻繁に行われ、地方の漁港に揚がった魚(獲れた野菜や果物)が地方の市場を経由して都市部の大きな市場へ運ばれていく。消費そのものは人口密度に比例しますからね。反対に都市部の市場に集まった生鮮食材が地方の市場へ運ばれていく。需要と共有のバランスですね。そして何より扱う商品が生鮮品ですので鮮度が再重要視されるため、産地である地元でしか出回らない生鮮品なんていうものもあったりするわけです。

オオズワイガニ

つい先ごろオオズワイガニのニュースが世間を騒がせていました。北海道や山陰地方など日本海側において魚漁の網に普段獲れない大量発生したオオズワイガニが入り、網を破損するなどの漁業被害が頻発した、というものです。ズワイガニは各地でブランド化されるほど人気のあるカニであることは周知の通りですが、オオズワイガニは品種そのものが異なる様です。ズワイカニと見た目は似ていますが甲羅が大きく、脚が太いのが特徴です。味は甘みがあって美味しいとのこと。

実はこのニュースで話題となっているオオズワイガニ、豊洲の市場で見かけることはありません。一部報道では現地で消費されるため各地に出回らない、1杯200〜300円で売られている、通販でもパンク状態なんて話も聞かれますが、豊洲のカニ業者の話では、ニュースで騒ぎになっていても商品そのものが流通網には乗って来ない、とのこと。とは言えこの先どうなっていくか気になるところであります。

市場にも劣化した商品は並んでいる!?

みなさん、新鮮な魚・野菜・果物をお得に買う!と言えば市場へ足を運ぶのが一番!と思うでしょう。それは間違いありません。しかし生鮮食品である以上商品の劣化は避けられず市場にも劣化した商品は立派に並んでいます。市場で店舗を運営される方も商売ですので劣化した商品を堂々と並べているのです。商品の良し悪しを判断ができる人なら、使い方と値段で購入する・しないを判断するでしょうし、良し悪しの判断ができない人なら、値段で購入した後、後悔するかもしれません。

売っている方も商売とはいえ`ひと`ですから、自身の仕入れ値と商品の状態から値付けを行い、顧客によって、またはその時の気分によって値引きを行なっています。販売価格や値付けに決まりはないので、周囲を見渡して同じ商品が極端に安い場合は鮮度を疑ってみて下さい。

豊洲市場で一般の人も買物できる?

『市場で買物してきます!』の言葉に違和感を感じますか?実は豊洲などの公営の市場では一般の人は買物ができないのです。

なぜなら豊洲の方々はプロを相手にした商売をしているからです。マーケティングでいうB to Bですね。本来、市場=マーケットは生活に密接したものですが、豊洲市場など大型の市場はプロ(業者)が商売の仕入の場として機能しているわけです。プロ(業者)といっても個人店の店主が仕入を行う場合もあり、大量買いする一般客への販売は行わないのか?という疑問もあるかと思います。しかしながらプロ(業者)専門で取引を行なっているのが現状です。地方市場の場合、月に1回など市場を開放して一般客に買物を楽しんでもらおう!という企画を催される市場もある様です。

築地に市場があった頃は表向きには`一般客の買物はお断り`と表示はされていましたが実際には観光客を始めとした明らかに一般客と思われる人たちが大挙していたことを思い出します。現在の豊洲ではその光景を目にすることはありません。無論、市場でご飯を食べることを目的に来場したお客さんも多いため、要所要所に警備員が配置され一般客と思しき方の買物エリアへの入場を遮っています。

参考写真1:豊洲市場売場風景1
参考写真2:豊洲市場売場風景2
参考写真3:冷凍マグロの運び込み
参考写真4:マグロ屋さん(ナママグロの陳列棚)
参考写真5:雑魚屋さん1
参考写真6:雑魚屋さん2
参考写真7:淡水魚屋さん(鰻や鯉、どじょうなど)
参考写真8:貝屋さん
参考写真9:蟹屋さん
参考写真10:干物屋さん
参考写真11:海外の業者を案内しているところ

豊洲にはSNSやYOU TUBEなどで見かけるような有名な料理人も買付に来ているようで、芸能人にあっているような感覚に陥ることがあります。参考写真11は海外から買付に来た方に説明をしているところをカメラで撮った図です。話を聞いているとその殆どが日本でお店を持っていて日本の商品の説明を受けている様でした。

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