中華街で「黒煙が出ている」と119番通報の火事と中華街の火事の特徴は?

6月7日(金)17時半頃、「路地裏から大量の黒煙が出ている」と119番通報がなされた横浜中華街内で1棟全焼、13棟が焼ける火事が発生し、夕方で観光客で賑わう街が騒然とした。

建物が集中する繁華街の一角で黒煙と共に建物が火の粉をあげて燃え上がっている様子は瞬く間にTVニュースで放送され街全体がパニックした。

後の警察と消防の発表によると消防車・ポンプ車・ヘリコプターなど合計65台が出動しており、幸いなことに死傷者はなかったとの事。

およそ2時間半後に消火され5時間半後に事態は収まったが、中華街内部での火事ということで現場周辺には人だかりが多く、繁華街における消化活動の難しさを感じた。

全焼した現場は中華街でも観光の名所として知られる関帝廟の至近の路地裏民家で学校も目と鼻の距離にある。

報道によると改修工事を行っていた無人家屋であったとのこと。

その時間、中華街至近の横浜スタジアムではプロ野球セ・パ交流戦が行われており、大量の煙や匂いが流れていたためスタジアムに集まった観客からもSNSを通じて火事情報が拡散されることとなった。

中華街の建物は古いものが多い?

沢山の様々な色で装飾された煌びやかな建物やカラフルな電飾や看板が印象的な中華街。

実は通り沿いの飲食店以外は木造家屋や古い建物がほとんど。いわゆるビルディングと呼ばれる建物は数棟しかない。

ビルが無い理由は風水上のもの、歴史的沿革と様々あるが実際は街を構成する管理者の間で高い建物を造ってはいけない、という取り決めがあるようだ。内部の方に聞いたことがある。

また繁華街特有の密集率とその密集の仕方。商業店舗が目立つ建物はどうやって建てたのか?と考えてしまうほど、建物間の隙間が狭く、路地とは言えない隙間を通らないとたどり着けない場所や家にいけない場所すらある。いわゆる囲繞地(いにょうち)だ。

そこに中華街で働く方々、外部へ仕事へ出かける方々がそれぞれ生活しており、空家となった家屋も多く、蔦がはって入り口が塞がれたような廃屋もあると聞く。

古い建物が多い理由は通りに面した土地が新たに建物を建て替え、奥にある土地所有者が建て替えられないという事情もあり、内部の土地所有者の家屋がそのまま残ってしまい建替えができず古くなっている、という事情もある。

今回の火事の舞台はそうした古い無人家屋をリフォームしている最中に出火させてしまった、という話が持ち上がっている。

不幸中の幸いであったのは、

・全焼したのが出火した1棟だけであり無人家屋であったこと

・密接した集落ではあるが結果的に一部消失の家屋が14棟の範囲で収まったこと

・怪我人を含めた死傷者が発生しなかったこと

・現場のすぐ近くに大型の駐車場があり、消防活動が行いやすかったこと

であったと感じる。

いずれにせよ消火活動に携わった様々な方々の尽力によって被害が最小限に抑えられたのは良かったと思います。

とはいえ現場周辺は翌朝には家屋が焼けた匂いが漂っており、火事の凄惨さを感じる一面もあったが、何事も無かったように日常が継続してる、それが中華街である。

中華街では火事が多い?

風水の街として知られる中華街には様々な言い伝えがあると言われています。

その中に火を司どる朱雀が火を吹くとか、龍が暴れて火事になるなど・・・

根拠はないが火事が多いのは事実。

私が記憶しているだけでも、この数年で消防車が立ち入った案件(火事・ボヤ含む)が4件発生している。

2024年6月7日 無人家屋(火事:死傷者なし)リフォーム中の出火か?

2023年11月9日 中華料理店(火事:死傷者なし)厨房ダクトから引火との情報

2023年8月3日 中華料理店(ボヤ:死傷者なし)厨房ダクトから引火との情報

2022年2月11日 雑貨店(火事:1名死亡)出火原因不明

料理店が大半を占める地域のため、主に料理店からの出火が理由として挙げられるわけですが、直近の火災のうち、料理店からの出火は4件中2件しかないため、中華街火災=料理店から、ということでもないだろう。

近隣住民として感じることは、このエリアで119番通報するとボヤ騒ぎの様な小さな事象でも消防車など消火活動を行なう車両の数が尋常ではないということ。

火災の現場によってはかなりの広範囲で立ち入り禁止のテープで道を塞がれ、随所に通行禁止となり、すれ違いができない狭い道を消防が列を作って大挙する。そして消防車が移動する際発するサイレン音が長時間に渡って鳴り響いている。

これが大事に感じる一番の要因だ。

つまり建物密集エリアであり、来客を含めた人工密集率が高い故の結論だろう。

上記に挙げた火災・ボヤ事象のうち、出火家屋以外に燃え移った事象は2件。

今回の2024年6月7日無人家屋と2022年2月11日雑貨店である。

実はこの2件は関帝廟通りという飲食店やお土産物屋が立ち並ぶ通りを挟んで20mほどしか離れていない。火災での位置による相関関係は全くないが、全焼している点、料理店ではない点、は共通している。

これらから中華街で火災が発生した場合(火災を大きくさせない)の行動マニュアルが整備されていることが良く理解できた。

まず、料理店には一番の出火原因と言われるダクトの清掃をこまめに行い、火元管理を徹底する指導を行っている。

119番通報があった場合、ボヤであるか否かを問わず地元の消火隊のみならず消火隊の応援を周辺地域へ伝え集結する。

これが事を大きく感じさせている要因であり、惨事被害を拡大させない大きな理由なのだろう。

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