2023年は中華民国 建国112年、10月10日は双十節
2023年は中華民国 建国112年
10月10日(金)は双十節。中華民国の建国記念日でした。
中華民国といえば現在の台湾。従って台湾建国記念のお祭りと言って間違いはありませんが、元々は中華人民共和国も台湾も共に同じ民族が集まった国です。
歴史的に思想上の絡み・政治的背景により緊張関係が感じられる両者ですが、その影響は日本華僑にも及びそれぞれの思想をバックグラウンドに学校がふたつになりました。
それが横浜中華学院(中華民国)と横浜山手中華学校(中華人民共和国)の二つ。学閥における抗争の歴史は現在も継続していると言って過言ではないでしょう。
とはいえ同じ民族であるが故、中華街では協業関係にもあり、それぞれが雑多・多様な文化の伝承がなされ今日に至ります。
とりわけ中華学院(中華民国)出身の方は自由な発想なもと、活発な動の印象ですが、反対に山手中華学校(中華人民共和国)出身の方は規律の中で粛々と行動する静の印象です。
現在私たちが抱く中国と台湾のイメージに近いのではないでしょうか?
そして先の10月1日(国慶節)には中華人民共和国の国慶節祝賀パレードが、10月10日(双十節)には中華民国の双十節パレードが行われ前述した印象を色濃く感じるものでした。
2023横浜中華街 双十節祝賀パレード
お面を持ってのパレードは横浜中華幼保園の獅子舞隊。
中華幼保園では3歳児から龍舞や獅子舞の授業があるようです。龍舞は先頭の球を追いかけるように後続の龍を複数人で追いかける演舞です。私の息子が当校へ通っていたこともあり、幼児期の数年で見違える演舞ができてしまうことに感銘を受けました。
子供たちが皆で龍を持って駆け回る姿はお遊戯会レベルの演舞ではなく、見ている人に穏やかさや感動を感じるものでした。個人的には、こんな幼児達がよくこんな長い時間と距離を龍舞を持って歩いて来れるものだな〜と感じました。
なぜ国士舘大学吹奏楽部が?ですがきっと中華学院のOBやOGが含まれているのでしょうね・・・
また中華街西門(延平門)の脇には公立の みなと中学があり、当校の吹奏楽部が非常に優秀で土地柄から中華街関係者も多数輩出されていることからOB・OGとして参加しているのかもしれませんね。
獅子舞は中国では『採青(つぁいつぃん)』と呼ばれお祭り事の主人公と言って良いでしょう。
2人で構成される獅子舞は太鼓・シンバル・爆竹の音に合わせリズミカルに周囲を楽しませます。
獅子舞自体は日本の御神輿と似たような意味合いで獅子舞のお口に噛まれると良いことがあると言われ男女問わず小学部から本格的な獅子舞の扱い方を教えられ力強い演舞を仕込まれています。
獅子舞にはポールダンスと呼ばれる1mから2mほどの円柱のポールに獅子舞が飛び乗ってパフォーマンスをする競技があります。高所で行うパフォーマンスであるため難易度がとても高くかなりの習熟度が必要とされます。
放課後の横浜中華学院の校庭ではそんな彼らの練習風景を見かけることができ、太鼓の音に合わせて大きな声が聞こえてきます。ポールから転落して怪我をした・・・なんてことも話題として上がるためポールダンスは獅子舞界では花形パフォーマンスであり、競技会以外では華僑が主催するイベント(春節など)で見ることができます。
子供はそのようなパフォーマンスを行いませんが、将来的にはこの列の中から中華街を背負うような獅子舞ポールダンサーが生まれるかもしれませんね。
上記以外にもたくさんの方々がパレードに参加しておりいずれも祝賀ムード満点の1日でした。
街の様子(双十節)
10月1日の国慶節(中華人民共和国の建国記念日)にはレストランの軒先に中国国旗を掲げる店舗は限られましたが、10月10日の双十節(中華民国の建国記念日)には上記写真の通り、国旗・国旗・国旗の嵐で全体からお祝いをしようとする気持ちが伝わるものでした。
建国をここまで表現しようとする感覚は母国を離れて生活する華僑であるからなのか?それとも国慶節をライバル視してのものなのか?思想の表れなのか?その辺りが複雑に絡み合っているのか?などと感じてしまいます。
パレードのスタート&ゴールは関帝廟の真隣にある横浜中華学院です。
この日は関帝廟へお参りに来た観光客の方々やパレードを見物者、そしてパレード関係者を含め、ものすごい人出のため中途半端な気持ちでは人混みの渦に突入することはできません。
複数の獅子舞ととりまきの太鼓、ドラ、爆竹隊のパフォーマンスに人々が集まり、お祝いをしながら運気を上げる・・・そんな気持ちが感じられる時間でもあります。
横浜中華学院の採青(獅子舞)
夜になると採青(獅子舞)が行われます。これは各店舗を周り商売繁盛祈願の御祈祷といった意味合いがあるそうです。従って今年開店した新しい店舗は縁起を担いで採青(獅子舞)を行ってもらいます。
上記写真は占い店舗の採青(獅子舞)ですが、料理店などで採青(獅子舞)を行うと、店内まで獅子舞が入いり、店内を行脚しながら店内にいるお客様の頭を噛んだりするのです。縁起を担ぐ中華の方ならではですが、噛んでもらった人はお捻りを忘れずに!噛んでもらいたい人はお捻りをリズムに乗って振り上げると獅子舞は近寄ってきて噛んでくれますよ!
横浜中華学院の獅子舞は世界大会へも出場しており、非常に安定した演舞を勇猛に見せてくれます。
それに初めて見る方には爆竹の音で驚いてしまうかもしれません。中国文化のお祝いと爆竹は切っても切り離せない関係です。中華街でも採青(獅子舞)が出る時は爆竹が鳴り響きます。
獅子舞も1頭だけでなく、複数のグループが1頭の獅子舞の取り巻きを行い、中華街中のお店に顔を出すわけです。近くで採青(獅子舞)がいるかどうかは爆竹の音で判断できたりするんです。
採青(獅子舞)は一見の価値あり!
そして興味のある方はお捻りを振り上げてみてください!勇気を振り絞って!
獅子舞はあなた目掛けて突進して頭を噛んでくれますよ!
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